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VOCALOID*レン→リン

2010-04-07 00:58

僕らは生まれた時から双子だったんだ。生まれた時から、1番最初に会った人で、お互いが1番大事な人。だからいつでも何処でも一緒の相手なんだ。ずっとそうだと思っていた。


「ねーねー、レーンー」
「…何、…リン」
「あのね、あのね!ミクちゃんに教わりながらクッキーを作ったの!」
「だから、食べろって?」
「うん!」


リンは目の前でティッシュに包まれたクッキーを差し出す。見た目は美味しそうなのだけれど、ミク姉とリンで作ったと言うのだから味が少し(否かなり)心配だ。おそるおそる手を伸ばし、外見が美味しそうな奴を手に採り、口に入れる。味は思ってたよりも不味くはなく、普通の美味しさだと思う(若干粉っぽいけれど)。口の中でクッキーが消えると前に居るリンは期待をする目で此方を見ている。自身はリンよりも少し大きいので、リンが自身を見る時は見上げる形となるのだけど。


(無意識に上目遣いすんなよ…)

動悸する心臓をなんとか抑えてリンに応える。


「不味くはないけど、粉っぽいと思うよ、…」 
「えっ!?粉っぽかった…!?」

多少の驚きで目を見開いている。そして、しょんぼりとした顔でティッシュに包まれたクッキーを弱々しく握る。口を真一文字に閉じて、目線を下に落とす。瞳を見れば、今にも大粒の涙が零れ落ちて来そうだ。ああ、もうこんな事で泣くな…!!


「別に食べれない訳じゃないんだから、リン、安心しなよ」
「…うん…そ、うだね!!じゃあ、ありがとね、レン!」

手を振りながらパタパタとエプロン姿のまま、部屋から出ていく。今日は家族全員が家に居る日。あのクッキーをメイコ姉ちゃんに、カイト兄、ミク姉ちゃんルカ……にあげるのか。しかも今日は運が良いのか悪いのかがくぽまで居る。皆に皆に今みたいにニコニコと笑いながら配るのだろうか。
胸がチクリと痛む。今まで、こういう事は沢山あった筈なのに。何故だろう。どうしてだろう。


今更ながら"寂しい"と感じてしまった。

リンが他の人にもあげる。只それだけの事なのに。とてもじゃないけれど、絶えられない。気付けば、読んでいた漫画を放り出してリンの後を追った。早く、早く行かなければ、皆の口にリンのクッキーが入ってしまう前に。





「リンッ……!!」
「レン…?」


リンはカイトの部屋で作ったクッキーを勧めていた。見る限りだと、どうやらまだ、食べていない。カイト自身、腹がいっぱいだったようで食べるのを躊躇っている。確認したのと同時にリンに向かって叫んだ。


「それ、全部、俺にちょうだい…!!」
「え…でも、レン…さっき食べたよね…?」

きょとんとリンの頭の上にハテナマークがついている。イマイチ、会話が噛み合っていない気がする。鈍感なリンの事だから、自身の科白の真意には気付いていないのだろう。

「良いから、全部、食べたいんだっ!!」
「レンもそう言ってる事だし、今回は、僕は遠慮しておくよ、ね、リン?」
「う、うん…分かったよ、カイ兄」

渋々と言ったように、リンはティッシュで包まれているクッキーを差し出した。受け取った時にはどうしようもない安堵に包まれた。相変わらず、リンは納得いかないような顔をしていたけれど、それでも何とか阻止出来たから良かった。




「もー、レンったら行きなり何であんな事言ったのよー!」
「別にいーだろー…」


リンから受け取ったクッキーを食しつつ二人で部屋に居る。リンはリンで、クッションを抱き締めて頬を膨らませて、クッキーを食べる自身を見つめる。まだ、怒っているのかと、口からではなく内でため息つく。


(俺だって、いきなりだったんだからさ、)

昨日までリンの事、微塵も思ってなかったのに。リンが誰と居ようが、誰かの為に何かを作ろうが全く何にも思わなかったのに。いったい自分はどうしてしまったんだろう?…こんなにもリンの事を考えているなんて。
ふと、ある予想が脳裏を駆け抜ける。が、忙しなく首を横に振る。ソレはありえない、筈だ。相手はリンだ。自身の双子の姉であって、クラスメイトの女の子でもなければ、近所に住む人でもなんでもない。それにプラスして、今まで1回も胸が動悸なんてしたことがないじゃないか。先ほど、リンに動悸がしたのはきっと、気のせいだ。気のせいに決まっている。


「もう本当どうしたの?何処かエラーでも起こした?」


いつの間にかレンの直ぐ側によっており、心配そな面持ちでレンの顔を凝視している。刹那、コツンと額を自身の額へと当てていた。うーん…熱くはないようだけど…なんてリンは軽々言って見せるけど、直ぐにリンの科白は右から左へと消え去ってしまった。
リンの顔が千秋。今すぐにでも、唇と唇が触れ合ってしまいそうだ。そんな事実に対して、頬が熱くなる。堪えられなくなり、体を大きく退けた。


「レン…?」
「リン、何してんだよっ!?」
「何って、レンがエラーを起こして熱くなってるかどうか診ただけだよ?」


リンからしたら、“診た”だけかもしれない。でも、自身は“だけ”では済まない。何故って、こんなにも心臓が大きく鼓動しているから。
…心臓が大きく鼓動している?
誰のがだ?自身のが?自身の心臓がリンに対して大きく鼓動している。今まで、こんな事起こらなかったのに。否、それは嘘だ。今まで、無自覚に鼓動した事は何回かあった筈だ。先ほどのように。


「レーンー?」


鳴り止まる事のない鼓動。頬が熱い、コレはエラー?
否、エラーではない。コレはきっと…リンに対して、もってはいけない感情。
自身の中で何かが芽生えた。


落ちた瞬間
(きっと、これは、許されないような)
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LIARGAME*秋山×直

2010-04-01 23:26

(ドラマ設定)


「秋山さーん…」
「どうしたんだよ、そんな、はんべそかいて」
「今日、福永さんに誘われて、ある喫茶店に行ったんですよー…」
(俺に、隠れて、何してんだ…)
「それで、何かされた訳?」
「そこに、葛城さんとかエトウさんとかヨコヤさんとかファイナルで戦った人達が、いっぱい、居たんです…」
(何で、俺に声をかけなかったんだ…)
「あー…で、今日がエイプリルフールだから、散々騙された、とか?」
「そうなんですー…も、もう、皆さん、色々、嘘ついてきたんです…っ!」
「………例えば…?」
「ヨコヤさんは、エリーさんが好き、とか、福永さんが実は女だったとか、
エトウさんは、私の事が好きとか、皆さん、いっぱい、嘘をついてきたんですよー…」
(エトウのは嘘じゃなくて、本音だと思うんだが…)
「で、皆から騙されて、帰ってきたって訳ね」
「そうなんです…うぅ…それで、皆が私を騙して、爆笑してる中、私、帰ろうとしたんですね」
「…それで?」
「そしたら、帰り際に、葛城さんに耳打ちされたんです…」
「…なんて?」
「"私、秋山君の事、大学時代から好きだったんですよ"って、…」
「お前、もしかして、ソレ、信じてんの?」
「わ、私だって、最初は嘘だと思ったんですけど、その後、"信じるも信じないも貴方次第です"って、意味深な笑みを浮かべてて…、」
「で、お前は、葛城の言葉を信じたんだな」
「だって………。でも、本当に、葛城さんが秋山さんの事、好きだったら、私、勝ち目がありません…」
「はぁ……お前、そんなんで、落ち込んでる訳?」
「だって、あの葛城さんですよ!?私が勝てる所なんて、1つもありません…」
「だから、勝ち負けとかそんなんじゃなくて、俺は神崎直が好きなんだけど」
「葛城さんは、頭も良い方ですし……って、へ?」
「俺は、葛城よりも神崎直の方が好き。これで、十分だろ?」
「え、え、えっと、そのっ…!そ、それはっ…!」
「そもそも、俺は、お前以外に惚れたりしないから安心しろ」
「そ、それ、エイプリルフールにちなんで、嘘とかじゃ、ないですよねっ…!?」
「あぁ。だから、お前も安心しろ」
「あ、あ、あ、あきやまさーんっ!!ゴメンなさい、こんな事、言ってぇ…」


ジェントル・ライ
(とりあえず、福永をしめておくか)(?…何か、言いました?)(否、なにも?)

学園アリス*棗×蜜柑

2010-04-01 22:25

「嫌いやよ、棗」
「そうか、俺もお前なんて嫌いだ」
「…大嫌いやよ、棗」
「俺も大嫌いだ、お前なんて」
「……棗なんて、居なくなっちゃえば良いのに」
「お前こそ、居なくなれば?」
「………ウチら、別れよか」
「そうだな。じゃあ、別れるか、…"佐倉"」
「…………なつめぇ…ウチ、嘘でもそんな事、聞きたくあらへん…、」
「…泣くなよ、お前が言い始めたんだろ」
「だって、今日、エイプリルフールやん…棗を驚かそう思って、言ったのに、棗、全然、動揺してくれへんもん…」
「お前、俺が動揺してないとでも思ってんの?」
「ふぇ…ひゃっ!い、行き成り、抱きしめないでや!」
「嘘だって、分かってても、お前から、"嫌い"だなんて言われたら、動揺するっつーの」
「………ふふ」
「何、笑ってんだよ」
「だって、嬉しいやん、そないな事、言われたら」
「……バーカ」
「棗、好きやよ」
「大好きやよ」
「居なくならないでな」
「ずっと、側に居てな」
「当たり前だろ」
「そもそも、お前を離す気なんて、ねーしな」


ラブ・フールデイ
(四月馬鹿も、恋人達には適わないわ!)

...バカっぷるなその後

学園アリス*棗×蜜柑

2010-01-01 23:35

コンコンと部屋をノックする。この部屋に居る事は確かなのだけれど、一度、ノック無しに入り、蜜柑に叱咤されたので、それ以降はちゃんとノックする様に努めている。
だが、ノックはしたのは良いものの、返事が返ってこない。寝ているのかと疑念するが、それは無いだろうと顔を左右に振り、もう一度ノックをする。すると、中から、独特の甲高い声が耳に届いた。


「棗やろ?今出るから、ちょっと待っててなー」


廊下まで聞こえる彼女の急ぎ足の足音。女なんだから、もう少し、大人しく行動したらどうだと内心で毒気づく。刹那、彼女の部屋のドアが開く。彼女の容姿を見た瞬間、今まで思惟してたのが壊された。
新年で、学園から配給された着物を目を疑うくらいに艶やかに着こなしており、髪の毛も1つにアップされて、華美にまとめられている。一言で言うならば、艶麗な容姿だった。


「どや、似合う??」


くるりと回って、着物を見せて、首をこてんと曲げさせて訊いてくる。新年早々、彼女は何をしてくれるんだと思わず、ため息が口から漏れ出した。


(……天然すぎるにも程があるだろう…)


新年から理性を抑えるのに必死のこっちの身も考えて欲しい。


「何や…似合わなかったん…?」


ため息を吐いた所為で、にこやかに微笑んでいた表情が一挙に悄然とした表情になる。新年明けたばかり、こんな表情させたくは無いというのに。それに、今日は―――。
彼女セットした髪の毛を崩さないように、ぽんぽんと頭を撫でる。行き成りの事で、悄然とした表情をしていたのに、今では複雑な表情をしている。そして、彼女にしか滅多に見せない笑みをする。


「…似合ってる」
「ホンマッ!?」
「嘘言って、どうすんだよ」


一言、似合ってると言っただけで、また彼女は相好を崩した。今年も彼女の柔らかい表情を見れて、多幸だと感じられる。だが、また、彼女は表情を変えた。
だが、先ほどとは違い、今は、もどかしくしている。無駄にチラチラと此方を見たり、手をもじもじといじったり。何の為にそうしているか、直ぐ分かり、このまま言わなくて良いかと思うが、流石に可哀想だ。じっと彼女の瞳を見つめる。


「……誕生日、…おめでとう」
「っうん!ありがとなっ!」


着物を着ているにも関わらず、抱きついてくる。余りにも突飛過ぎたので、彼女を受け止めるために、多少よろけてしまい、二、三歩後ろへ下がる。ふわりと彼女の髪の毛から芳香が匂った。今年もいい年になりそうだと、衷心から思う。
そして、昨年から…というより、昨日、思いついた、彼女へのプレゼントを渡す。


「今年のプレゼントだが、……」
「何何っ?何くれるんっ!?!?」


燦爛とした瞳で見上げてくる。そんな彼女に苦笑し、抱きしめたまま、唇と唇が触れ合う寸前まで、近づけ―――。


「俺の苗字をやるよ」


彼女が目を見開いたのと同時に、桃色に染められた唇に口付けをした。


Vorresti sposarmi?
(こんなプロポーズはどうだ?)

学園アリス*棗×蜜柑

2009-11-11 21:24

むしゃむしゃと音を立てながら、ポッキーを食している。雑誌を読みながら、左手はページをめくり、右手はポッキーを持っている。手中にあるポッキーが口へと消えると、また手をポッキーが入ってる袋へと入れる。それを何回も繰り返している。しかも、視線は雑誌から外さないで手探りでポッキーを手にとって、食べる。
暫くの間、じーっと、そんな彼を見つめているけれど、1回も此方を見ようとしない。彼に構ってもらえなくて、ちょっぴり寂しい。それと同時に腹が立ってきた。
ちょっと悪戯してみようと、ポッキーが入ってる箱を手に取り、自分の後ろへと置き、隠す。彼が1本のポッキーを食べ終わると、手を伸ばす。だが、あると思った場所になくて、手探りでポッキーの箱を探す。それでもやっぱり、見つからなく、棗は顔を上げた。


「蜜柑、何処にやった」
「…ウチの相手してくれへん人には教えませーん」


つーんと、そっぽを向く。棗も少しは困れば良いんだ。
11月11日。ポッキーとプリッツの日で、セントラルタウンに行った時、勢いで沢山買ってしまった。特力で全部、食べ切れなかったので、余った分を棗にプレゼントしようと、折角、訪ねたのに、彼は貰うなり―――。
棗は雑誌を横に置くと、蜜柑に近寄る。そして、いとも簡単にポッキーを奪った。最初はそっぽを向いていて、分からなかったけれど、カサカサという物音を聞いて、奪われた事に気付く。


「ちょ、なつめ、」


刹那、振り向くなり、口の中にポッキーを入れられた。どう対処して良いか分からず、取り敢えずポッキーが落ちない様に銜える。すると銜えていないもう片方を棗が口に銜える。至近距離に棗の顔があり、見て入れられなくなり目を瞑る。耳に聞こえてくるのはサクサクとポッキーを食べる音。そして、段々と気配が近づいてくる。
目を開けようと思った刹那、唇同士が触れ合った。何事かと思い、目を開けて後ろへ後退しながら離れる。


「いっきなり、何すんねん!!」
「何って、お前、…構って欲しかったんだろ」
「な、つめのアホーッ!!」


棗に背を向ける。嗚呼、もう今、後ろにいる棗は口角を上げて笑っているだろう。もう何だか、彼に構ってもらって嬉しいのか、行き成りキスされて悔しいのか分からない。でも、結局は…、嬉しくて堪らないのだ。この感情を押さえ込もうと、頬を染めながら口に残ったポッキーを飲み込んだ。



ポッキー・ベイベー
(残ったのは嬉しさとチョコ味)