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2025-08-16 11:24

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プロイセン×ハンガリー*APH

2009-10-01 20:33

「エリザッ…!!」


前を歩く髪の長い女に声をかける。あの腰まである亜麻色の髪。右側にある花の髪飾り。何年、何十年、何百年、見ていた。ずっと見ていたんだ。間違えるはずがない。
呼んだ女がゆっくりと振り返る。長い髪を振り撒いて、視線を合わせた。


「どうしたのよ、ギルベルト。そんなに慌てて」


エリザをずっと、走って探していた所為か口からは荒い息が絶え間なく出続ける。だから、彼女を見つけた瞬間、口が勝手にエリザの名を呼んでいた。むしょうに嬉しくて、仕方なかったのだ。
最近、やっとの事で、エリザと付き合い始めて、自身を見つけてもフライパンを出さなくなったし、ちゃんと意識した目で見つめられる。それだけでたまらなく嬉しかった。
今だって、平然を装っているが、頬を少しだけ赤らめている。突然、現れた自身に対して、驚愕して、動揺しているのだろう。彼女が考えている事を想像するだけで楽しい。


「なぁなぁ、今週の日曜は暇か?」
「うーん…確か予定入ってなかった筈だけどー、」


人差し指で顎を差し、思い出している。彼女は一応、国を持っているのだから、休日なんていうものは関係ない。休日だろうが平日だろうが、関係なく忙しい時は忙しい。だから、エリザのその答を聞いて、ほっとした。
ルートが折角、譲ってくれたチケットを無駄にしてたまるか!


「じゃあ、俺ん所の新しく出来た遊園地でも2人でいかね?」
「は?遊園地?」
「ああ!」


エリザはぽかーんと間抜けに口を開いている。突然の誘いに驚いているのだろう。それもそのはずだ。自分達は付き合ってからデートらしきデートはしていない。何処かに出かけたとしてもいつも、貴族やルートが居た。だからコレが、初めてのデートともいえる。
正直、今、かなり緊張している。鼓動が無駄に早く動き、手に持っていたチケットを半ば押し付ける。


「じゃあ、日曜10時に駅でな」


エリザの返事も聞かずに、その場を去る。嗚呼、どうしようどうしよう。勢いで渡してしまったが、来てくれるだろうか。エリザが来てくれる事をひたすらに祈った。



初デートの誘い方
(半ば無理矢理だったけれど、どうなる事か)
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葵←蜜柑*学園アリス

2009-10-01 00:50


※わんくっしょん
ガチな百合です。苦手な方はご注意を。
一応続きに隠します。最初なんで、本当にSSSって感じです。ぬるい。

...MORE?

竹之丸←奈々緒*亡き少女の為のパヴァーヌ

2009-10-01 00:26

「調べの君」に会えて、あの音をまた聞けて嬉しかった。
あの美しい音色を。もう一度聞けるなんて。


近くで聴いてみれば涙が出てきて。感動して。
貴方に出会えて、本当に良かった。
逢う為に帝都、東京に、親の反対を押し切って出てこれて良かった。


ブローチも戴いた。
無色透明だったのが段々と胡桃色に染まり、不思議で堪らなかったけれど、嬉しかった。
あの「調べの君」から戴いた物だから。
本当に天へ感謝した。あの時ほど、感謝した事は無かった。


逢って2人でお話すれば、年下と言う事が分かって、笑ったりと表情が見えたり、人へと変わっていった。
もう1度間近で、「調べの君」の音色を聞くだけで、世界が広がった。
つい先日まではとても、遠く名も知らなかった人なのに。
今ではこんなにも貴方と私の距離が近い。



偶然、貴方と初めて帝都に来た時に会えて。
偶然、貴方がこの音楽学校に居て。
偶然、貴方とまた出逢えて。
偶然、貴方に恋に落ちて。



全てが偶然で、運命だとしたら、私はその全ての偶然と運命に感謝を出来る。
だから、あの時のも偶然で運命。これが私の“するべき事”なんだった思う。
「調べの君」に対して―――。


調べの君が「聖女の涙」を欲しているというのなら。
最初は恐かった。思わず逃げ出した。


優しいあの「調べの君」じゃなかったから。
剣を持っていて、突き放された感覚。


それでも、小さく震えながら「使命」の事について話された「調べの君」に何かしてあげじゃなくちゃと思えた。
例えこの命が滅んでしまったとしても。


これが、本来の「調べの君」。この事を知った私はきっと幸運な人。
だって、萩さんや神田さんはきっと知らないでしょう。


私の命が貴方を救えるのならば、容易く差し上げましょう。
世界で1番愛しい「調べの君」に。


最後の夜はとても、幸せで満ち溢れていた。



あなた様の隣で
(私は天に召されます)

棗×蜜柑*学園アリス

2009-10-01 00:20

彼と同棲し始めて約半年。
学園を卒業した後、自分等は一旦故郷へ戻りまた自分等が出会った此処(東京)で再会し―――。
社会に出て、それなりに上手くいっている方だと思う。
毎日楽しい職場で働いて、毎日大好きな彼と居られて、とても幸せ。
会う時間は学生時代よりは多くとれないけれど、それども幸せなんだ。
逆に幸せ過ぎて怖い位に。
でも、不安な点がある。
同棲を始めたのも、成り行きだったし第一、同棲はしたのはいいものの婚約だとか結婚だとかの話は彼は一切切り出さなかった。
幸せだから良いけれど―――。


そんな毎日が続いて、季節は冬になり、クリスマスがやってきた。
どこそこクリスマス色になり、陽気な音楽が流れている。
閑散とした部屋の中で、少し奮発して買ったチキンを調理して、手作りながらも一生懸命作った甘さ控えめのケーキ。勿論上には苺をたっぷりのせて。
丁寧に愛情を込めた夕飯の準備が終わり、後は彼を待つだけだと思った刹那。
ガチャリとドアが開く音がして、エプロンを付けたまま玄関へと向かう。
向かった先には、微笑していた彼が居て、思わず此方も笑ってしまった。




「悪かったな、クリスマスプレゼントも買えなくて」
「えぇんよ、別に!!」


クリスマスのご馳走を食べ終わり、不意に彼が申し訳なさそうに謝ってきた。
自身はプレゼントなんてなくても彼と一緒に居られるだけで幸せだからそんな事は一々気にしていない。
それに。


「これ、あるやん!」


そう言って差し出したのは彼がコンビニで買ってきたプラスチックの大きな靴下の入れ物。
その中には大量にお菓子が入っていて、これがまた意外に美味しい。
ご馳走もケーキも食べたと言うのに、お菓子も食べる自分に彼は若干呆れた目をしているが、でも優しい目をしていた。


「そうだな」
「そやろー!折角アンタが買ってきてくれたんやしな!
あっ、もう最後のお菓子や」


靴下型のケースの奥底に手を出し、手探りで最後の箱を取り出すと、そこには無地の赤色の箱があり、開けてみると、立方体の箱がまた入っていた。
不思議に思って、その立方体の箱を開けると、トップに綺麗なダイアモンドが付いた指輪が入っていた。
余りにも予想外な事で開いた口が塞がらない。
呆けた顔で彼の顔を見ると、彼は真剣な顔をしていた。


「ずっと、言おうと思ってたんだが…結婚しよう」
「……っ、アンタにしては回りくどいわ」
「お前を驚かせようと思ってな」
「普通、誰でもプロポーズされたら吃驚するわ…」
「で、返事は?」
「勿論、決まってるやろ」


今まで不安だったのが今の出来事で一瞬で吹っ飛んだ。
もう、嬉しすぎて幸せすぎて涙が出てきた。
思わず彼に寄り添うと優しく抱き止めてくれた。



サプライズ・イヴ
(驚いて嬉しくて、一緒に笑うんだ)

棗×蜜柑*学園アリス

2009-09-30 23:50

「ふー…なかなか終わらへんなぁ…」


ある春の日の休日。その前日に蜜柑だけに出された大量の課題。
遅刻したペナルティとして、神野から出されたのだ。
余りの多さに、一時はやる気さえ出なかったけれど、この課題を提出しなければ、
神野から酷いお説教が待っているだろう。
それだけは勘弁だ。何としても避けたい。


やる気を出そうとどうにかして机に向かってみるけれど、中々ペンが進まない。
机の周りは、娯楽のものが置いてあって、そちらに目が行ってしまう。
このままでは絶対に明日までに終わらない。
はて、どうしようと考えた時、脳裏に“彼”が浮かんだ。
なんだかんだで、何時も自分が困っていると助けてくれる。
課題だって、何回助けてもらっただろう。教えてくれたり、課題をやってくれたり。
でも、“彼”は今回の様に課題で助けを請うと後で、見返りを要求してくる。
…見返りを要求しなかったのは、数回くらいしか思い浮かばない。


(えぇい、背に腹はかえられへん!)


そして、大量の課題と共に、“彼”の部屋へと押しかけた。





案の定、彼は見返りを要求してきた。今回は、明日の夜ごはん作り。
まだ楽で良かったと、内心、安堵する。
偶に彼は此方が恥ずかしくてたまらない事を頼んでくる。
例えば―――。


(お、思い出しただけでなんか恥ずかしくなってきたわ…)


熱くなる頬にさわり、何とか熱を冷ます。


何時も、いつも。
―――棗にはいつも振りまわれてばかりや。



「おい、蜜柑…」
「なんや、棗?」



棗は、珍しく、課題の分からない所だけを教えてくれるだけじゃなく、
課題の半分をやってくれた。
けれど、棗は“デキる”人だから、出された課題をあっという間に終わらせてしまった。
此方としては、半分終わったからいいけれど、半分の半分が今やっと終わった位。
後、残り4分の1なのだけれど、集中力が切れてきた所為か進まない。



「俺が手伝ってやったんだから、さっさと終わらせろよ」
「言われなくても、わかっとるよ…」



後ろで寝転んで、本を読んでる棗を一瞥する。
折角、棗が手伝ってくれたのだから、早く終わらせなくては。
何とかやる気を出して、ラストスパートをかけた。







「やっと終わったわ……んーつっかれたー」



手を組み、上へと伸びをする。時刻はもう夜の11時。
疲れと同時に睡魔が襲ってくる。伸びをしてる間に欠伸をしてしまった。
課題も終わった事だし、早く寝たい。
だから、思わず。



「枕がほしいわー…」



口に出してしまった。


刹那、寝転んで本を読んでいた棗が、本を置いて、腕を横に出した。
棗の意味深な行動に、頭上にハテナマークが浮かぶ。



「これを使えばいいんじゃねぇか?」



棗の科白で、漸く気付く。
これとは、腕。つまり。


(腕枕って事なん…!?)


胸の鼓動が段々と速く動く。先ほどの眠気なんて、何処かに飛んでいってしまった。
おまけに棗は棗で、口角を上げながら伸ばしていない方の手で空いてるスペースをぽんぽんと叩く。
これは…するしかないみたいだ。


もぞもぞと動き、ころんと棗の腕に頭を乗せると、目線の先には棗の唇が見える。
この状態を誰かに見られてしまったらどうしようと考えると恥ずかしくてたまらない。


抵抗も出来ず完全に棗のペース。また振り回されてしまった。
本音を言うと棗の腕枕が嬉しい。
程好く引き締まった腕に洋服から香る棗の匂い。全てが心地よい。
だけれど、敢えての皮肉を言う。



「…寝にくい」
「お前が枕がほしいって言ったんだろ」
「せやけどっ…!」
「ったく…ちょっと黙ってろ」



そう言うや否や、棗は顔を近づけてくる。
もともと2人の間にそこまでの距離はないのだから、直ぐに唇同士が触れ合う。
行き成りの行動に、棗の言うとおり、言葉が出なくなってしまう。
唇が離れると棗は優しく微笑んで、告げた。



「意外とキスしやすいな」





*春の夜の夢
(あなたの腕の上で夢は見れないわ)