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こばなし
花が咲いていました。一輪の花が咲いていました。
水を与えたら、花は成長しました。水を与えるにつれ、花は増えていきました。
気付いたら、花園になっていました。
「ねぇ、蜜柑ちゃん…」
「何や、葵ちゃん?」
昼さがりのベンチに、2人寄り添って座る。勿論、手は繋いで…所謂「恋人つなぎ」。
お日様がこうこうと輝いて煌いていて、ぽかぽかと暖かく感じられる。
ゆっくりと、隣にいる人物を視界に捕らえると、彼女は、何か戸惑っている。
眉尻が下がり、いつもの彼女じゃないみたい。いつも、彼女は自信満々に満ち溢れているのに。
「蜜柑ちゃんは、後悔とかしてないの…?この関係に…」
この関係とは、勿論、自分達が"付き合ってる"事に対してだろう。
自分達は同性だ。世間的にはこの関係は認められていない。
最初は勿論抵抗が無かったとは言えない。だけど、気付いたら、もう走り出してしまっていて。
お互い止まらなくて、今に至る。特に告白とかはしていない。気付いたらこの関係になってしまっていて。
握っている手をぎゅっと握る。そして、彼女に優しく微笑む。
「そんな事、あらへんよ?ウチは葵ちゃんの事が大好きやから」
「…そっかっ!私もね、蜜柑ちゃんの事、だーいすきだよ!」
お互い笑いあう。傍から見れば、ただの友達同士にしか見えないだろう。
だけど、自分達は"恋人"。まだ、誰にも言っていない関係。秘密の秘密の関係。
何処まで続けるのだろうか?…もう止められない。彼女が好きでたまらない。
彼女以外の人物なんて、意中の目でみれない。彼女が別れを告げるまで、この関係に浸っていたい。
花が咲いていました。一輪の花が咲いていました。
水を与えたら、花は成長しました。水を与えるにつれ、花は増えていきました。
気付いたら、花園になっていました。
…気付いたら、花園の虜になっていました。
SECRET GARDEN
(誰にも言えない花園へようこそ)