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2025-08-16 11:18

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学園アリス*棗×蜜柑

2009-10-02 12:31

「例えばの話だ」


只今、4時間目の授業中。
4時間目と言う事もあり、そろそろお腹が空いてきて、授業なんて聞いてはいられない。
そんな理由を述べても、いつも授業は聞いてはいないけれど。
暇だなぁと思いつつ、ボーっとしながら前の子の頭を見ていると、隣に座る人から小さな声が聞こえた。


「何?なつめ」
「例えばの話だ」
「2回繰り返さなくてもええやろ。それで何?」


授業が余りにも退屈だったので、棗の話に付き合う事にする。
いつも棗と話す時は大抵嫌味しか言って来なくて話していると段々堪忍袋の緒が切れそうになるのだけど。
授業が退屈だから―――と、無理矢理自分に理由を付けて、話をする。
何と聞いたのに、中々返事が返って来ない。
一体何を話そうとしているのだろう?


「もし、俺がお前の事を好きだと言ったらどうするか?」
「えっ…?」


くるくると回していたペンが机の上にガタッと音を立てて落ちた。
幸い、周りは聞こえて無かったらしく、後ろを振り向いてはいない。
そして、棗の方を向く。―――真剣な瞳をしていた。
ドキリと心臓が鳴る。彼の真剣な瞳に自分は弱い…。全てが見透かしていそうで。
顔が真っ赤になっていないか気になる。
曖昧に視線をずらすと、彼はくっくっくと喉奥で笑う声が聞こえる。


「ア、アンタ冗談なん?!今の!」


未だ笑い続けているという事は肯定を意味している。
意識してしまった自分が憎い。
彼が笑うのが終わると、まだ顔は少し笑みがあった。そんなに可笑しいのだろうか。
本当に先程、意識してしまった自分が憎い。
そんな蜜柑の様子を見てか、棗は口端を吊り上げた。


「……半分冗談…半分、本気」
「はい?」


キーンコーンカーンコーン―――。


がやがやと教室が話し声で五月蝿くなる。
チャイムがなっても、蜜柑は椅子に座っていた。
教室も五月蝿いけれど、自分の心臓の方が五月蝿くてたまらない。


大事な物を盗まれました。
(それは何か分かりますか?)
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